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奈良 旅とくらしの玉手箱 フルコト
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■ 平城の夕焼けに想う
2012年 02月 21日 |
お店番をしていると、「奈良の魅力ってどんなところでしょう」と聞かれることがあります。
どんなものでも、その魅力について語ろうと思うと、本当に多くの切り口があると思いますが、
私にとっては「くらしている中で、いたるところに重層的な歴史が感じられること」が奈良の魅力の一つかなと感じております。

ちょっと例をとってお話ししましょう。
私は平日、だいたい17時をすこしすぎたくらいに国道369号線(ミロク号と勝手な愛称で呼んでます。)から一条通に出て、車を西に走らせ自宅を目指します。

一条通の東の起点は東大寺転害門。天平時代の建築を今に伝える堂々とした風格の門です。
西を目指し少し走ると若草公民館へ向かう小道が交差します。右手にフルコトへの看板がちらりと見えます。
さらに直進し佐保川を越え、
大仏建立を発願した聖武天皇、悲田院と施薬院を創設した光明皇后おふたりの御陵前を通過します。
やすらぎの道と交差してさらに直進すると、右手に興福院への坂道が見えます。
このあたりはいくつもの学校が立ち並び、いろんな制服の生徒さんが歩いています。
スーパーもあるし、ドラッグストアもある。
ガソリンスタンドもあるし、せんべい屋さんもある。
そしてそんな中に、常陸神社はこちら、不退寺はこちら……と、
由緒のある神社仏閣の看板が次々と見えてきます。
ああ、素敵なカフェもありますね。雑貨屋さんにもたくさんのお客さん。

さらに西に向かい、JRの踏切を渡ると、
右手に有名な牛丼屋チェーンが。
そのむこうに、日本で最初の公開図書館とされている「芸亭(うんてい)跡」の碑がちらりと見えます。
そして24号線が交差。
この24号線バイパスが発掘調査されたときには、
「馬がいなくなったんです。これこれこういう特徴の馬です。さがしてます。情報求む(意訳)」という内容の平安時代の立て看板が見つかっています。
また、24号線と一条通に接している一条高校の敷地内では、平安時代の巨大な木枠井戸が見つかっています。
さらに直進すると、東西に道がずれたような交差点が。
法華寺の南東角にあたる場所で、
平城京の条坊中、一ヶ所だけイレギュラーな区割りになっているところです。
ここから一旦右折して北に進路を変えます。

左手に海龍王寺があります。
もっと行くと右手に法華寺郵便局。
この交差点を左折し、進路を西へ。

一条通を走っただけでも、今目にする景色の中に、そして伝えられてきたお話の中に、
さまざまな時代の遺構やエピソードが溶け込み、そこかしこに織り込まれているのを感じます。

おお、平城宮跡が見えてきました。
私が帰宅する時間帯は、お天気次第ですがここから本当に美しい夕焼けが見られます。
帰宅の時間はほぼ毎日定時なので、
日に日に陽が長くなっていくのがまるで定点観測のようにわかるのです。
まだ頬にふれる風は冷たいけれど、確実に春にむかっている。それがしっかりと感じられます。

平城宮跡大極殿と、ちょっと左に顔を向ければ遠くの方に朱雀門。そして正面には生駒山がそびえています。
さえぎるものがない、美しい夕焼け。
真似の出来ない色、同じである日は二度とない。

同じである日は二度とないのに、様々な時代のものが残されている。
その中でくらしている不思議さ、おもしろさ。

平城の夕焼けは、多くのことを想わせてくれます。


え?私の自宅ですか?
この文章では平城宮跡に住んでいるみたい?
じゃあ、まあ、そういうことにしときましょうか!笑
by furukoto | 2012-02-21 23:16 |
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